REC.002 chapter.1「仕事はテクニックより熱」
season 6
REC.002 chapter.1
仕事はテクニックより熱
― 学生はいかがでしたか。
橋元恵一氏(以下橋元と表記。敬称略):とても熱心で、特に前の方の学生はうなずきながらとても興味を持ってくれたみたいで嬉しかったです。エンタテインメント系の講座を選択されていること自体、貴重というか、僕らの学生時代にはこういった講座は聞いたことがないので、とても意味深いと思います。エンタテインメントの仕事は大変な部分もたくさんありますが、他の仕事とは違う充実感が得られると思うので、こういう若い仲間が集まってくれるといいなという思いでお話させていただきました。
― 学生からの質問も多くありましたが、橋元先生は、視野を広げるために学生のときにどんな勉強をしたらいいとお考えですか?
橋元:もちろんライブを観て、いろんな音楽を聴いて、広く浅くいろんなことを見聞きするのがいいかと思います。例えばコンサートもアーティストがなぜこのセットリスト(曲順)にしているのかを考え、そのなかで演出の意味などを後で振り返るとかなり面白く、また勉強になりますよね。また、僕はニュース番組が大好きなんですけど、同じできごとでも局によって取り上げているコンテンツが違います。ですから、学生には一つのニュースが、どういう切り口で、それぞれが伝えていることを考えてもらい、ちょっと物事の視点を変えるだけで見え方も変わるんだ。ということを意識して欲しいですね。それから、自分の好きなものに特化して、例えばアニメが好きであれば、アニメについて何かもの申せるプロデューサーというか、そういう立場を目指すのも一つ。そこは専門的に自分の好きなものを突き詰めていくのも有りだと思いますし、広くいろんな物事を多くの角度から見ていってもらえればと思います。
― 橋元先生が、仕事で大切にしているものは何ですか?
橋元:それはテクニックより、僕はおそらく熱だと思うんですね。企画会議でもどんな会議でもいいんですけど、売ろうと思っているものに対してどういう熱意を持っているかということが、僕らの仕事では試されると思います。企画そのものよりも自分が肌で感じていることを、熱を持って丁寧に話せばそれは絶対に伝わると思いますね。
それと、もうひとつ、僕も最近忘れがちなんですけど、「相手の気持ちになって物事を考える」ということをずっと思っています。僕らの仕事はどこまでいっても人と接していくものなので、いま、こう話していることが相手に本当に伝わっているのかとか、伝えるためにはどう話せば上手く伝わるか?と常に注意しています。子供頃から云われている当たり前のことですが、いま一度思い出してみるというのは凄く大事だと思います。
― 橋元先生のキャリアのなかで、アーティストからアイドルに担当が変わったときに、仕事のやり方は変わりましたか?また、人脈は新しく開拓したのですか?
橋元:全く変わりました。もともと自分はアーティストのクリエイティブ業務が主で、ライブやフェスをやる際は、お付き合いしてきた事務所の人脈を中心に交渉してきました。しかし、アイドル業界はこれまでの人脈とはほぼ違う新しいネットワークでした。そこでまず自分がやろうと思っているアイドルフェスを一つ一つ説明してまわりました。そのなかで賛同して頂いた方たちが協力してくれて、少しずつその輪が大きくなっていった感じです。お陰さまでイベント自体が大きくなり、関わって頂ける方がどんどん増えてきた状況なので、開拓したかといわれると、気がついたら周りの仲間が増えていたということなんです。
僕が必ずやっていることとして、イベント出演を打診するグループは、基本的にそのグループのライブを観てから出演してもらっています。必ずライブを観てからどの回に呼ぶかとか、どの出番にするかというのは決めていて、当日のライブも必ず全部を観ています。
― 橋元先生は、どんなアシスタントを必要としてますか?
橋元:僕らの会社でも最近は、専門学校を卒業して間もない20歳ぐらいのアシスタントが多いんです。僕としては一つ一つ物事を丁寧に考えられる人、そういう人がアシスタントとしては必要ですし、内に秘めていてもいいので、しっかり熱を持っている人が欲しいですね。仕事は一つずつ理解してもらえるように教えます。昔よりも業界でいうところの先輩、後輩の上下関係みたいなものも最近はないんですけど、でもやっぱり、熱がある若い人たちと仕事を一緒にできることは刺激も貰えるし、切望してますね。
chapter.1 「仕事はテクニックより熱」
chapter.2 「行き当たりばったりでやってもアーティストの成長戦略に繋がらない」
REC.002 橋元恵一
(株)Zeppライブ フェスティバル事業部 部長
- REC.002 chapter 1-2
- chapter.1 「仕事はテクニックより熱」
- chapter.2 「行き当たりばったりでやってもアーティストの成長戦略に繋がらない」