メカトロニクスコース | コンピュータサイエンス学部

現在、多くの機器や機械がコンピュータを搭載した「メカトロニクスシステム」となって、家庭から社会、自然環境にいたるさまざまな場面で活用されています。さらに、今後は、ロボットやインテリジェントビークルなど、人とより密接に関わる用途での発展・普及が期待されています。

本コースでは、このように生活や生産を支援する先進のメカトロニクスシステムやそのコンピュータ制御に興味のある人を対象として、これらを実現するための理論と技術を教授し、人や社会・環境を支える新しいメカトロニクスシステムの創造をリードする人材を育成します。

　先進のメカトロニクスシステムに必要な機能は、自身や外界の状態を認識する知覚、状況に応じた知能情報処理、外界に働きかける行動の3要素に加えて、これらを全体として関連し合って有効に働くようなシステム制御の仕組みによって成り立ちます。したがって、賢く巧みなメカトロニクスシステムを創るには、センサ、ソフトウェア、アクチュエータや機構などの要素技術に加えて、全体をシステムとして適切に制御する総合的な工学が必要です。
　

そこでこのコースのカリキュラムでは、これらの工学技術を体系的に学びます。具体的には、まず2年次前期にコースの特徴となる専門科目：メカトロニクスラボで、複数の関連研究室に体験入門し研究テーマに近い実験・実習を通じて研究の核心や最先端に触れます。それによって専門科目学習の動機をつかんだ上で、専門分野の4つの柱：ロボティクス、制御工学、エレクトロニクス、知能情報処理技術を、2～3年次に基礎からバランスよく学習します。

　特にロボティクス、制御工学については、それぞれ3科目からなる演習付きのコア科目群によってしっかりと身につけます(ロボット力学、ロボット運動学、ロボット設計学、動的システム、フィードバック制御、システム制御)。エレクトロニクスについては、2年次の専門基礎教育科目(電気回路、電子回路)と、2～3年次のコアの専門科目(アナログ電子回路、マイクロコントローラ)において学びます。知能情報処理技術についても、2年次の専門基礎教育科目(情報ネットワーク概論、Web技術基礎、コンピュータ概論 I ・II、プログラミング基礎 I ・II、プログラミング応用 I ・II ・III、など)と、2～3年次の他コースや共通の専門科目(組込みシステム、画像情報処理、生体情報工学、人工知能、学習と進化的計算、など)によって修得します。合わせて、各自が興味を持った多様な分野の発展的内容について、2～3年次の専門科目からの選択によって、自分で目標を定めて履修できます。

さらに、学部共通の実験・実習授業として、コンピュータサイエンス基礎実験 I ・II、応用実験 I ・II においてメカトロニクスや制御、ミニロボコンといったテーマを実施すると同時に、さらに進んだ取組みを希望する学生を対象に、プロジェクト実習 I ・II において外部のロボットコンテストへの挑戦を目標とする実践的なテーマを用意しています

フィードバック制御: ものを操る技術の基本は、たとえば、部屋の温度を一定に保ったり、ロボットを目標の位置に速く正確に動かすために使われます。これは、制御する対象の状態を計測して目標に合うようにコンピュータを用いて調整する「フィードバック制御」と呼ばれる技術です。この講義では、コンピュータシミュレーションを用いて、このような制御を行なうシステムの実践的な設計法を学びます。
ロボット運動学: ロボットを設計して思い通りの動きをさせるためには、「ロボットの機構」（ロボットを構成する部品の組み合わせとその動き）についての知識が不可欠です。また、望みの位置までロボットアームの手先を動かすためには関節の角度を何度動かせばよいのか、といった「ロボットの運動」に関する知識も必要となります。この科目では、これらの基礎知識を、講義と演習を通して身につけます。