REC.003 chapter.1「『僕らにはレールがなくてルールもない』」
season 5
REC.003 chapter.1
僕らにはレールがなくてルールもない
― 今日の学生の印象はいかがでしたか。
中川悠介先生(以下中川と敬称略):自分の大学生時代と比較したら凄く真面目だなと思いましたね。真剣に聞いてくれて良かったです。留学生の方にも興味を持ってもらえているんだなというのは感じました。
― 中川先生は1981年のお生まれですが、高校生時代(96〜99年)はどんな高校生だったのでしょうか。憧れの人とかいましたか?
中川:藤原ヒロシさん(※1)や、それから僕は和光なので、先輩の小山田圭吾(※2)さんや小沢健二(※3)さんから影響を受けています。僕も仲間とバンドをやったりDJをしたり、いろいろやっていました。高校の頃は渋谷系(※4)から裏原(※5)に変わるタイミングだったのかなと思います。
(※1藤原ヒロシ:1964年生まれ。ファッション・デザイナー、ミュージシャン、クラブDJ、音楽プロデューサーなど多彩な顔を持つ日本のアーティスト)
(※2小山田圭吾:1969年生まれ。89年フリッパーズ・ギターでデビューし、その後コーネリアスを結成。現在はMETAFIVEでも活動)
(※3小沢健二:1968年生まれ。フリッパーズ・ギター解散後、ソロ活動を開始しスチャダラパーと共演した「今夜はブギー・バック」がヒット)
(※4渋谷系:1990年初めに渋谷宇田川町に集まるチーマーに「渋カジ=渋谷系カジュアル」というファッションに火がつき、音楽ではピチカート・ファイヴやフリッパーズ・ギターなどが渋谷系と呼ばれた)
(※5裏原:1993年頃から人通りの多かった竹下通りから表参道周辺の宅地に並んだセンスのいいショップが注目され、裏原系ファッションブランドが人気になった)
― 大学時代はいかがでしたか?
中川:学生時代の遊び場だった原宿で何かをやりたいと思い、仲間たちとイベントを企画しました。当時クラブが安く借りられる月曜に、翌日が休みの美容師さんを集めた「美容師ナイト」というイベントを行い、そのうちにいろんなジャンルの人とどんどん知り合って人脈が広がっていった。僕は人が集まる場所が好きで、人が笑顔でいれば何かが生まれるんじゃないかと。その頃からエンタテインメントの仕事に携わりたいと思い、プロデュースすることが面白くて裏方の仕事が好きになっていました。中田ヤスタカ(※6)さんと知り合って、面白いことをやろうとよく話をしていました。
(※6中田ヤスタカ:1980年生まれ。音楽プロデューサーとしてPerfume、きゃりーぱみゅぱみゅなどを手掛けている)
― 面白いことをやろうというときの原動力は何ですか?
中川:僕は基本的に人が好きなんです。これが自分の一番の武器だと思っています。
アイデアは割と沸いてくるタイプですね。僕らの仕事にはレールがなくてルールもない。当たり前のことを当たり前と思わず、歯止めも自分だしゴールも自分だし。だから仕事の一つ一つを当たり前のことにしちゃいけないと凄く意識しています。会社名は「遊ぶ」という言葉を世界に持っていったら面白いだろうなと思ったから。最初は「アソべシステム」だったんですけど、会社にするときに「アソビシステム」に変えたんですね。
― 会社名はきゃりーぱみゅぱみゅさんと一緒に広がっていったようなイメージがあります。また、会社はどんな目標があったのですか?
中川:設立時は何の会社かとよく聞かれましたが、彼女の存在は大きかったと思いますね。ただ当初目標はなくて、いろいろ成功したなと漠然と思っていたくらいですね。
― また中川さんは「カワイイ」という言葉を世界に発信した元祖ですが、どんな発想からスタートしたのですか?
中川:外国人が原宿に来て、みんな可愛いのが好きなんだなと思っていたので、わかりやすい表現として、ですね。日本人は何とか系とか好きじゃないですか、そんな発想ですね。
― 今日の講義でも「赤文字系があったら青文字系を考える」というお話がありましたが、どんなところからこういった発想をなさるのですか?
中川:それは単純に自分たちの会社に所属しているモデルたちの魅力が、どうしたら早く伝わるかということで考えました。クライアントの方々に自分たちの名刺を持っていって、話を聞いてもらうのは当たり前と思ってはいけないと思って、話を聞いてもらえるようになるためには、自分たちのわかりやすい表現とか、そういうものが必要だなと思って考えていたんですよね。
chapter.1 「『僕らにはレールがなくてルールもない』」
chapter.2 「『もしもしにっぽん』プロジェクト」
REC.003 中川悠介
アソビシステム株式会社代表取締役
- REC.003 chapter 1-2
- chapter.1 「『僕らにはレールがなくてルールもない』」
- chapter.2 「『もしもしにっぽん』プロジェクト」