従来の常識を破る“循環型プラスチックス”
の開発に挑戦

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従来の常識を破る“循環型プラスチックス”の開発に挑戦

地球環境に貢献するプラスチックスをめざして

現在、廃棄プラスチックスによる環境汚染の問題が深刻化しています。また、これらプラスチックスは有限な石油資源から作られ、その製造・廃棄時には大量のCO2を排出することも問題視されています。そこで、こうした問題の解決に向けて応用生物学部の中西昭仁助教(生命機能応用研究室)は、工学部の入谷康平助教(高分子・光機能材料学研究室)との共同により、「自己増殖型資源を利用したセルプラスチックス軽量素材の実現」をテーマとする革新的な素材開発研究を進めています。この研究は持続可能な社会の実現に貢献する取り組みとして、「国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)」が推進する先導研究プログラム「未踏チャレンジ2050」に採択されるなど、多方面から注目を集めています。

石油の代わりに“微生物細胞”を材料に

本研究は、CO2削減と非石油資源の利用をコンセプトとして、サステイナブル社会を実現する新規プラスチックスを作製することを目的としています。現在、開発を進めているのは、石油などの化学物質を用いる従来の方法とは全く異なる、“微生物細胞”を主成分とするプラスチックス 「細胞(セル)プラスチックス」です。本研究では、光合成を行える単細胞緑藻を利用することにより、大気中のCO2から直接プラスチックス素材を生産することをめざしています。さらに、生物由来の物質や生分解性ポリマーで補強することにより、実用に耐えられ、かつ自然分解できる循環型のプラスチックスとすることを究極の目標としています。

細胞(セル)プラスチックス

インパクトある取り組みに周囲の期待も高まっている

本研究のこれまでの成果は学外からも高い評価を受けており、NEDOが毎年発行している活動報告書(アニュアルレポート)に研究の概要等が掲載されました。このアニュアルレポートは数多くあるNEDOの研究開発の中からインパクトのある研究活動にスポットを当て国内外に広く紹介するものであり、本研究に対する期待の大きさがうかがえます。また、研究内容は、科学誌AMB-Expressに「Construction of cell-plastics as neo-plastics consisted of cell-layer provided green alga Chlamydomonas reinhardtii covered by two-dimensional polymer」と題した論文で受理されており、国際的な学術界でも認められています。

NEDO活動報告書(アニュアルレポート)

教員プロフィール

入谷 康平 (工学部 応用化学科 助教)

大阪大学大学院 基礎工学研究科 物質創成専攻 博士(工学)
大阪大学大学院 基礎工学研究科 特任研究員

専門分野:有機化学、超分子化学、表面化学