1新しい広告をつくる
メディアの変化を見すえ、次代の革新的広告を追求
東京工科大学メディア学部では、発展するデジタルメディアを活用して、新しいビジネスのあり方や、教育のあり方がどうなるか、国際社会に貢献するにはどうしたらいいか、といった課題に取り組む研究を進めています。
その中でも、メディア社会コースでは、「新しい広告」をつくるための研究を積極的に行っています。広告は、従来、テレビや新聞などを主要なメディアとして制作・発信されてき
ました。しかし、インターネットの発展、ソーシャルメディアの進化により、広告のあり方は大きく変わってきており、これまで考えられなかったような新しい手法が次々に登場しています。例えば、ソーシャルメディアの中で提示される動画広告や、ファンを増やす施策、また、駅などで見かけるデジタルサイネージなど、多彩な展開が見られます。
メディア社会コースでは、このような広告を取り巻く環境の変化を見すえ、従来の広告研究とは異なるアプローチ、すなわち、新しい技術や手法を最大限用い、複数領域を横断・融合する研究を精力的に展開しています。こうした先端的な広告研究を通じて、メディア社会コースでは、社会とメディアの接点を多彩な視点で見つめ、社会を発展させる人材を育成しています。
ソーシャルグッド実現に向けたVR広告システムの研究
ソーシャルグッドの実現は現代社会において大きな目標となっています。その目標は国連が一覧にしてまとめています。しかし、目標の中には、当事者以外には実感しにくいものもあります。そこで、現実には体験しにくい体験を疑似的に体験できるVRを活用すれば、目標達成への理解と共感が得られるのではないかと考え、研究をすすめています。具体的に、ソーシャルグッド実現に向けたVR活用ビジネスシステムの試作を行ったところ、VRにより臨場感のある体験をしたことで、被験者は感情に訴えかけられ、ソーシャルグッドへの理解が深まったことがわかりました。また、環境を守るという意欲の高まりが起こったことがわかりました。
アンバサダー・プログラムの研究!
インターネットやソーシャルメディアの発展を背景に、近年、自分の好きなブランドについて積極的に推奨する消費者が注目されています。アンバサダー・プログラムとは、そうした推奨行為を行なってくれる自社のファンと企業が一緒に行うマーケティング活動の総称です。これは、いわばファンベースのマーケティングであり、ここには従来のマスマーケティングでは実現できなかった大きな可能性があります。このアンバサダー・プログラムの可能性やメカニズム、企業にとってのマーケティング価値、推奨による影響力などを研究します。
デジタル・ジャーナリズムと記事型ネイティブ広告
新聞やテレビに代わり、ジャーナリズムの活動の場はデジタル・メディアに移行しつつあります。インターネットのみで情報を発信しているデジタル・ニュースメディアの主な収入源は、記事への課金ではなくオンライン広告です。最近ではパブリッシャーがブランドのために記事を作成する、記事型ネイティブ広告が世界的に注目されています。この広告手法では、読者に「記事だと思ったら広告だった。騙された」と感じさせないために、広告であることの明示が非常に重要だと言われています。本研究では広告認知が、読者のブランドイメージや記事の印象にどのような影響を与えているかを調査します。ニュースメディア側が「面白い記事であれば広告効果が高い」とセールスしている記事型ネイティブ広告が、果たして本当にブランド側に有益なものであるかを明らかにします。
映像コンテンツにおけるプロダクト・プレイスメント(PP)
従来の広告の効果が薄れてきたと言われる昨今、コンテンツの中に直接ブランドを登場させるプロダクト・プレイスメント(PP)は新たな広告手法として期待されています。しかし、世界的にもその50%以上が商品の提供と露出のバーター取引で成立しており、有料広告として行われていないのが実情です。本研究では原理的にバーター商品を必要としないアニメ映画を取り上げ、アニメ映画のPPがどのように成立しているかを調査しました。その結果、「非計画的PP」、「協業的PP」、「機械主義的PP」の3つのプロセスモデルを発見しました。PPの成立プロセス研究は数も少なく、他のジャンルや、報道コンテンツに関しても非常に興味深いものとなるでしょう。また最近は、撮影済みのコンテンツに後からデジタル技術でブランドを入れ込むデジタルPPも研究対象として注目されています。
ビーコン連動型デジタルサイネージの開発
スマートフォンの普及やセンサー技術の発展により、「IoT(Internet of Things)」に注目が集まっている。ICカードで電車やバスに乗ったり、買い物をしたりするのもその一つだ。本研究ではビーコンを活用して行動データを分析し、適した情報を提示するシステムを開発した。ICカードはタッチしたデータのみを取得するが、ビーコンではそれに加え、どのくらい近づいたかという情報を取得することができる。この仕組みにより、少しでも興味があり近づいた人に対して、その人が関心を持ちそうな情報をディスプレイに表示することが可能となる。また、このデータを解析することで、新たなデジタルマーケティングの手法としても期待ができる。