2022年コンピュータサイエンス学部長メッセージ
「勉強と現実がつながっていく瞬間を楽しみに」大野 澄雄
受験生の皆さん、コンピュータサイエンス学部長の大野です。
大学受験というものはただでさえ苦しかったり勉強の意義が見いだせず行き詰まったりするものですが、皆さんの受験生活の大部分は先生や友達との交流が制限される中で進んできて、不安や苦労がより一層大きいことと思います。皆さんが現在取り組んでいる数学や物理、英語といった高校までの勉強が何の役に立つんだろうと疑問に思いながら問題を解いている人も多いことでしょう。コンピュータサイエンス学部では、社会生活に役立つコンピュータやネットワークのシステムを築き上げていくことや、社会や人間の活動をデータとして捉えて役立てる人工知能を扱います。そのどの場面においても、高校までに勉強した基礎知識に基づいて、さらに大学で学修する知識やスキルを活用することになります。車の自動運転やスマートフォンのアプリといった身近な応用を考えてみても、皆さんがいま勉強している知識なしでは実現できません。
「STEAM教育」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?これは科学(Science)、技術(Technology)、工学(Engineering)、芸術(Art)、数学(Mathematics)の5つの学問領域の頭文字を並べたものです。芸術を入れないSTEM、ロボット技術(Robotics)を加えたSTREAMなどの言葉も使われます。学校での教科分類とは必ずしも一致していませんが、具体的な学問分野として想像できるかと思います。これらの領域の知識を組み合わせることが、現実社会の問題点を見つけ、解決し、新しい価値を生み出すチカラになります。コンピュータサイエンス学部が目指す教育は、まさにこれらSTEAMの各分野の知識を現実社会の技術や価値に変えていくチカラを身につけることです。教科書や専門書の中の数式や理論が、自動運転や人工知能などの目に見える現実のモノやサービスにつながる瞬間こそがコンピュータサイエンスを学ぶワクワクを実感することになるでしょう。それは大学入学後にじっくり味わうことにして、それまでは高校での勉強をその準備作業だと考えると少しは楽しくなるのではないでしょうか。
各分野の知識を組み合わせると書きましたが、現実の問題や課題では、必要な知識の取捨選択やその組み合わせ方に決まった答えや正解はなく、無数の可能性から状況にあった最適なものを探し出すことになります。皆さん一人一人が全く異なるいくつもの正解を見つけ出すことになるんです。さらにワクワクしてきたのではないでしょうか。
東京工科大学では「実学主義教育」と呼んでいますが、個々の知識を活用するチカラ、組み合わせるチカラ、応用できるチカラを身につけることを意味しています。自然災害や疾病によって社会情勢は絶えず変化します。また技術についても次々と革新が進んで、覚えただけの知識は直に役に立たなくなってしまいます。コンピュータサイエンス学部では、たとえ社会や技術がどんなに変化しても、それに対応することができる、価値を創造し続けることができる人を育成します
受験勉強の最終段階は、これまで学んできたものを総括して体系化するという将来とても役に立つ作業をしていることになります。大学でのワクワクを楽しみに、そのための準備として受験を乗り切ると考えれば、少しは気持ちも高まるのでないでしょうか。
私自身も若い皆さんとともにコンピュータサイエンスのチカラで新しい価値を創り出していくことが楽しみでなりません。春には八王子のキャンパスでお会いできることを願っています。
コンピュータサイエンス学部WEB:
https://www.teu.ac.jp/gakubu/cs/index.html