大山学長のホッとブレイク

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学長コラム第10回「世界に出て、自らの目で見て、触れる経験を!」

2021年3月26日掲出

 皆さん、こんにちは。学長の大山です。このコラムも今日で2020年度の最終回を迎えました。今回は、皆さんが大学生になったら、在学中にぜひ経験しておいてほしいことについてお話ししましょう。

 私が学生に経験してほしいと思うのは、自分の目で海外を見ることです。私が大学生の頃は、インターネットもない時代ですから、世界がどう動いているのかは全くわかりませんでしたし、海外はひとつの憧れでしかありませんでした。また個人的には英語があまり得意ではなかったので、特別、海外に目を向けるという考えは頭にありませんでした。ところが、大学4年生で所属した研究室で、驚く経験をします。指導教官がとてもインターナショナルな方で、毎月のように海外から先生を招き、ゼミなどで研究発表をして頂いていたのです。それには学部生も大学院生もゼミ生は全員参加しなければなりませんでした。しかも必ずひとつ質問をするというルールがあったので、私は一生懸命に英語の発表を聞いて、「ここだけは質問しよう」と決めて質問していました。もちろん海外の先生は私の質問に答えてくれるのですが、残念ながらその英語が全然わからず、後から先輩にどういう話だったのか教えてもらっていました(笑)。そういう経験からか、少しずつ海外の方を身近に感じられるようになっていったのです。

 そんな私が初めて海外へ行ったのは、インドのニューデリーで開催された国際学会でした。当時のインドは発展途上国で、道端に色々な人があふれていて、ニュースで見た戦後の日本のような混沌とした光景を目の当たりにしました。また、電力事情が悪く、学会の発表中に停電するなど、かなりカルチャーショックを受けました。それでも、そういう経験が助けとなり、1995年頃にJICA(国際協力機構)のプロジェクトで短期専門家としてインドネシアで制御工学を教えるという話があったときは、「やってみようかな」とすんなり思えたのです。相変わらず英語は苦手でしたが、頑張ればなんとかなるさという気になっていましたから。とはいえ、インドネシアでも驚かされることはたくさんありました。インドネシアはイスラム教の国ですから、朝、突然、礼拝に来るよう呼びかけるアザーンの放送が町中に流れてびっくりしたり、お昼はお祈りの時間で休みになったりと、初めて触れるイスラム文化がとても印象的でした。

 今は努力しなくても、たいていの情報はインターネットで手に入る時代です。逆に実際に海外へ行くと、言葉が通じなくて苦労したり、事前にたくさん準備しないといけなかったり、結果として無駄なことになったりと、間違いや失敗も多々あると思います。ですが、ぜひそういう苦労をしてでも、自分で実際のデータを集める、実際に触れてみることをしてほしいと思います。インターネットを通してきれいな情報だけを得るのではなく、自分で考えながら、迷いながら経験することをしてほしいのです。失敗や迷い、問題をなんとか解決するということも大事な経験ですし、楽しみのひとつでもありますから。現在はコロナ禍で気軽に海外へ行くことが難しいですが、いずれは収束するはずです。大学生になったら在学中にぜひ、その目で世界を見て、感じてきてください。

 一年間、お付き合いをありがとうございました。4月にキャンパスで会えることを楽しみにしています!