東京工科大学では、2015年に国連で採択された「SDGs(持続続可能な開発のためのグローバル目標)」の達成に貢献するために、さまざまな活動を展開しています。
その一環としてメディア学部では、2019年春より東京都北区にある聖学院中学校・高等学校との高大連携プログラム「SDGs Media Lab」をスタートしました。
SDGs Media Labとは?
「SDGs(Sustainable Development Goals)」は、気候変動や貧困、不平等など、世界規模の問題を解決していくために2015年の国連総会で採択された国際目標です。東京工科大学のメディア学部は、メディアを活用した実社会への貢献と、それを主導する人材の育成を重要な目標にしており、SDGsに関連する教育・研究活動にも力を入れています。「SDGs Media Lab」は、その一環として2019年春に始まった研究プログラムで、本学と同様に以前からSDGs教育に注力している聖学院中学校・高等学校との協働で、さまざまな社会の課題を解決するためにメディアを活用するプロジェクトを展開していくことを考えています。本プログラムは、SDGsや高大連携に興味のあるメディア学部学生の自主的な参加により実施され、中学・高校生と一緒にテーマを決めて研究を推進。最終的に研究成果の外部発表やコンテストへの挑戦もめざします。
キックオフイベントの内容
2019年6月1日に八王子キャンパス片柳研究所棟で行われた「SDGs Media Lab」のキックオフイベントには、メディア学部メディア社会コースの3つのゼミに所属する4年生17名と、聖学院中学校・高等学校の生徒28名が参加しました。まず、聖学院の生徒が、これまでに自分たちが取り組んできたSDGs関連のテーマを中心とする複数のプロジェクトについてプレゼンテーション。
それを聴いた大学生が、関心を持ったプロジェクトや協力したいプロジェクトを選んで、ファシリテーターとして中高生チームに加わり、自由に意見を出し合うブレインストーミング形式のワークショップを行いました。この日は、チームごとに取り組むテーマや問題点、その解決策などを共有してプログラムは終了しました。
イベント当日の様子
片柳研究所棟10階アクティブラーニングセンターに集まったメディア学部学生と聖学院の生徒たちは、初の顔合わせということで最初は緊張気味にイベントがスタート。教員によるプログラムの説明後、教室の2カ所に分かれて始まった聖学院の生徒たちによるプレゼンテーションは、内容も発表者の説明も非常にわかりやすく、メモを取る大学生たちは皆、真剣に耳を傾けて聞き入りました。後半のワークショップは、大学生と中学・高校生が輪になって活発に意見を出し合う和気藹々とした雰囲気で進行。連絡先の交換なども行い、お互いの理解と交流を深めました。
担当教員インタビュー
メディア学部 飯沼 瑞穂 准教授
専門分野
ソーシャル・デザイン、国際教育開発、グローバルメディア
これからの大学は、より外部に開かれた学びの場になっていくことが重要です。メディア学部の高大連携プログラム「SDGs Media Lab」は、大学が持つ知識や人材を外部に積極的に提供していくうえで大切な役割を担っている取り組みと言えるでしょう。また、SDGsの多様で複雑な問題に取り組む際には、組織の枠を超えた横断的な連携が必要とされています。その意味でも中学・高校・大学が協働する今回のアプローチは画期的なものだと自負しています。今、中学・高校の学びの現場では、「PBL(プロジェクトに基づく実践的学習)」の導入が進んでいます。こうした学びを経験してきた子どもたちのニーズに応えるアクティブで魅力的な大学のプログラムのモデルケースとして、「SDGs Media Lab」を発展させていければと考えています。
メディア学部 森川 美幸 講師
専門分野
映像コンテンツの企画・制作、エンタテインメントビジネス、デジタルコミュニケーション
本プログラムのキックオフイベントとして、6月1日に本学で実施された聖学院の生徒によるプロジェクトのプレゼンテーションは、アイデアも取り組みもレベルが高く、メディア学部学生は大いに刺激を受けました。メディア学を専門的に学ぶ学生として、中高生の活動を支えていくために、どのような知識や技術が必要になるのか。自らの能力の向上に務めるとともに、サポートに参加する専門的人材を集めるなど、人的ネットワークの構築なども経験できる貴重な機会になるはずです。また、これまでに身につけたメディアスキルをいかに実社会に役立てればいいのか模索している学生にとって、今回のプログラムは自らの能力を生かす方向性やフィールドを見つけ出すヒントを与えてくれるかも知れません。
聖学院中学校・高等学校 児浦 良裕 先生
21教育企画部部長、国際教育部部長
聖学院中学校・高等学校では、地域創生やパラスポーツ、農業振興など、さまざまな社会的課題に取り組み、多くの成果を上げてきました。その一方で、プロジェクトのアイデアを実践する機会が少ないことや、取り組みの手法がICT時代にそぐわないアナログなものから脱却できていないことなどが課題になっていました。今回の東京工科大学との連携プログラムは、実践的な挑戦の場を広げるとともに、さまざまなメディアの活用について大学生から学ぶことで、自分たちの活動を世の中により広くアピールしていくことにもつながるものと期待しています。普段とは違う環境で、大学生からアドバイスや評価を受けることで、生徒たちがどれだけ成長できるか。プロジェクトの成果が大いに楽しみです。