デザイン学部では、「戦略的教育プログラム」のひとつとして、プロジェクションマッピング技術の実用的な応用に取り組んでいます。プロジェクションマッピングとは、凸凹した壁面や立体物に映像を照射して表現する技術のことです。一般にエンターテインメントショーや空間を使った表現に使用されることが多いものですが、今回、私たちは、そうした表現以外にどう社会に役立てるかという提案とその実装に取り組みます。
例えば、私が研究開発を手掛ける半球状スクリーンに、被災現場の様子を広角カメラで撮影したデータを5Gで送信して投影し、東京にいる人たちがその映像を見ることで、現場にいるような臨場感で空間をシェアするということも、一種のプロジェクションマッピングの応用です。こうしたことに関心のある学生を募り、例えばプロジェクションマッピングの技術を応用して、身近な機械やラジコンなどの遠隔操作を行うといったことに挑戦します。その取り組みを通して、学生にプロジェクションマッピングの技術をどう活かすか、そこにデザインがどう介入するかという価値の提案と実装の方法について考えてもらう予定です。
デジタル田園都市国家構想
『デジタルツイン あんぜん運転スコアリング』実装に向けて学内実験を実施
前橋市『デジタルツイン あんぜん運転スコアリング』に協力
2022年11月9日、デザイン学部田村吾郎准教授を中心とする研究チームは、群馬県前橋市が産学連携で取り組む、デジタルツイン(3次元デジタル空間)を活用した交通事故削減の市民向けサービス『デジタルツイン あんぜん運転スコアリング』の開発に協力しました。
田村准教授らが研究開発する半球体スクリーン「Sphere(スフィア)5.2」を運営するワンダービジョン社とレーシングチーム「トムス」らが共同開発した没入型運転シミュレーターと、前橋市のデジタルツイン環境を組み合わせ、運転者の認知や技能などの判定を実施。バーチャルで再現された前橋市内をシミュレーターでドライブすることで、運転者の空間認知能力、標識・法令の理解度、ステアリング・ブレーキ・アクセルなどの操作の適切性などを判定し、運転の測定・評価を行いました。
社会実装を目指して学生と学内実験を実施
この『デジタルツイン あんぜん運転スコアリング』は、前橋市独自のIDやデータ連携基盤と連動した市民サービスとしての社会実装を目指しています。その実現に向けた実証実験を、2023年1月24日、本学蒲田キャンパスで行いました。
田村准教授らをはじめ、空間演出コースの学生5名と共に没入型運転シミュレーターの機能評価と改善のためのデバック作業を実施。学生はドライビングの被験者、各種計測のサポート、レポート制作補助などの業務に参加しました。
また、今回の実験では、有限責任監査法人トーマツ、住友ベークライト株式会社の研究者らとともに、学生による脳波や視線(アイトラッキング)といったバイタルデータの測定も行っています。
そこで得られたデータやノウハウは、高齢化などに伴う空間認知能力の低下に起因する交通事故の削減に向けて、著しくスコアの低い被験者にバイタルテストを行い、被験者の運転リスクや事故リスクを科学的に評価する仕組みの導入に活用されます。